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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(オ)581号 判決 1953年9月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人堀尾和夫の上告理由(後記)について。

統制経済法規に統制価格の定めある物品につき、その価格を超えた代金をもつて売買契約を結び、その代金を交付した場合、この金額が民法七〇八条にいわゆる不法原因の給付に当るとしても、かかる給付を受領した者においてその金額を給付者に任意返還することはもちろん、前の売買契約を解除しその金額を返還する特約をすることも、同条の禁ずるところでないと解するのが、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二四年(オ)第一七九号同二八年一月二二日第一小法廷判決、集七巻一号五七頁参照)。従つて本件において上告人は被上告人に対し利得金の償還義務を免れることはできない筋合であつて、論旨に対する判断を俟つまでもなく原判決は結局において正当である。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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